富士竹笹類植物園

画像1


  ある日の午後、迷路のような植物園に辿り着いた。ガイドブックも、植物園のチラシも
  なしに、WEBの情報を頼りに植物園へと向かった。
  はじめていく場所で バスから降りて看板を頼りに目的地に辿り着こうと思っていたが甘かった。
  
  徒歩15分ならこの辺だろうと予測し 左折し工場の後方を歩く。なかなか辿り漬けない。
  仕方なくバスの通っている太い道に出る。降りたバス停から二つも先を歩いていたのだ。
  人気のない木々の生い茂った坂道を降りて行って、人ひとり歩いていない、車も一台走っていないこんなところじゃない。アスファルト道路の
  行き先が不透明だ。蜘蛛の糸を辿るように、視界の不透明な道に怯え
  工場の裏道へと戻った。しかしここじゃない。
  再び暗くて、雨の降った後の濡れた舗道を行く。またしばらく行くと三叉路に。
  きっと植物園は小高い丘の上だろうと思い 動物たちのいななく丘を登っていく。

農家の女性に道を尋ねようと敷地に入ると、折りの中の大型犬 2~3匹が飛び跳ね  すごい勢いで吠えている。教えられた情報を元に、上へ上へ登っていくが見当たらない。今度は 親切なサボテン農家の女性に尋ねる。行ったことのない植物園だと言われ GOOGLEで探し、この辺だと見当を付け

 今度は下へ下へ降りていくと、植物園が見えてきた。

画像3


 園内に入ろうとすると、蚊に刺されないよう両腕にスプレーをかけられた。長袖のシャツを着て来るんだった。雨が降った後の竹林を歩けば「雨をみたかい?」 おばばが出てきて質問攻めにあう。「もう竹琴は叩いたかい?」木琴ではない。竹で出来ている。叩いてみると一瞬のうちにバリ島の音楽がよみがえる。

画像7
  バスの時間があったから長居はできなかった。帰ろうとしていると   またおばばが現れて
  「らっきょうのカタチの竹は見たかい?」ときく。告げられた番号の小路に見に行く。
  バスの時間が迫っている。 サッーとにわか雨のように帰ろうと思っていたが
  出口でまた呼び止めれた。「そろばん型の竹は見たかい?」
  また 植物園に逆戻り。雨上がりの植物園係員は
  「タダでは帰らせないよ。」と目を光らせている。

 

画像2

画像6

「竹に蔦が絡まっていますよ。」と言うと 「だって誰も来ないから。」と植物園係員は答えた。

週に3日だけ空いている植物園

画像4

その日の訪問者はわたし一人だけだった。

桜の時期にはこの辺一面 桜の花びらが落ち ピンクに染まって それはそれは美しいのだという。夢のように語る係員を振り切るように 迷宮のような植物園から、抜け出した。

画像5